江戸の最後の年 慶応3年に建てられた
殿様の隠居屋敷の
長屋門と蔵です
145年ぶりの修復です!!
改修前の長屋門です
瓦葺きは傷みがひどく
野地板も所々が
腐朽していました
本家から来た
殿さまが通った門の
内部化粧野地には
紅柄で化粧された名残が
残っていました
垂木も野地板も
すっかり取替えて修復し、
いぶし瓦を葺き替えました
漆喰部分は漆喰用の
化粧塗料で上塗りを掛け
外壁の焼杉板には
耐候性の高いドイツ製の
木材保護塗料を塗りました
長屋門とつながった
改修前の東の蔵です
棟木の継ぎ手が
中央で外れていました
小屋組み部材は古材が使われていて
江戸時代の
物を大事にする精神が
ここでも発揮されていました
棟木は添え梁で補強して
棟の下りを修復
昭和に入ってからつくられた
ブロック造の屋外トイレを
撤去して
長屋門前の広いスペースが
復元されました
街道側から見た長屋門
欅の門も外壁の焼杉も
紫外線と風雨に晒され
表面の傷みと汚れが
年月を感じさせます
門の大扉も脇の小扉も
黒い木材保護塗料で塗りました
白い漆喰とのコントラストが
シャープな印象となりました
改修前の
街道側から見た
長屋門・東の蔵・農機具庫です
軒先の縁石には
御影石の葛石が
据えられていました
長屋門の右側部分は
農具倉庫
左側部分は
馬小屋として
使われていました
中の柱に馬にかじられた跡が
残されていました
東の蔵には痛風用の
窓が開けられています
いまは硝子が嵌まっていますが
江戸時代には雨戸替わりに
板の扉が取付付けられて
いたのでしょう
螻羽の刻袖瓦も今回改修しました
改修前の
長屋門の大扉です
古くなってはいますが
鋳鉄製の丁番飾り金物は
まだまだしっかりしています
砂鉄から叩き出された金物の
強さが生きています
145年たっても
門の扉は
とてもしっかりとしていました
塗装を施すと
まるで新しく造ったかのような
美しさです
改修前の
東の蔵と農機具庫です
建築当時に作成された
墨で書かれた古図面では
作業小屋と水場として
建てられていたものです
農機具庫は一部が
改造されて
シャッターが
取り付けられ
トラクターなどの
出入りができるように
してあります
農機具庫に付属していた
車庫のスペースも
改修することになりました
黒く塗装した焼杉板の
農機具庫の外装に合わせて
焼杉模様の角波化粧鋼板で
建物の表情を合わせました
屋根はルーフデッキで
葺きました
母屋に隣接して建ててある
西の蔵は文庫家財蔵の役割で
建てられています
土庇の屋根は
瓦も野地板もかなり
傷みが激しくなって
いました
屋根の野地板も補修して
いぶし瓦を葺き直し
漆喰の上に化粧で貼られていた
白の化粧鋼板も
すっかりと塗り直し、
白の輝きが蘇りました
裏の街道からみた
西の蔵
屋敷の周囲は石垣で固められ
屋敷の北西角
戌亥の方向に建てられています
石垣に沿って水路が
掘られています
西の蔵の焼杉板は
以前に一度改修されていました
その時に改修されていなかった
北の焼杉板は張替えて
その他の板には
保護塗料を塗りました
文庫蔵には
江戸時代の建設時に
和紙に墨で描かれた
屋敷内の配置図が
残されていました
当時この窓からは
どんな風景が見えたのでしょう
しっかりと漆喰で縁取られた
窓でした・・
・・人にやさしくきもちいい、街にとけこむたてものを・・
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